着ぐるみのピンクウサギに、黄色い風船をもらった。
その黄色い風船には、ヘリウムが入っている。
紐を持って歩くと、風船とヘリウムがあとから付いてきた。
風船の中にあるヘリウムの分子は、生まれはきっとバラバラだ。
アメリカ生まれのヘリウムもあれば、エジプト生まれのヘリウムもあるだろう。
それが何かの縁で同じ風船の間に閉じ込められている。
僕は胸ポケットからボールペンを取り出して、風船を突いて割った。
出会えて良かったな、上空でも仲良くやっていけよ。
上の方を眺めてみたけれど、ヘリウムは見えなかった。
１０メートル後ろでは、ピンクウサギがせっせと風船をふくらませていた。
