雲のお話

20歳になりました。
成人です。
オトナだそうです。
おとなってなんだ。
大人の世界は広い。


ここでとつぜん雲の話をはじめる。
雲は種類ごとにだいたい同じような高さに広がっています。
その一番上にいったん出てしまうと、上は快晴で下は雲の海、とても綺麗な眺めになります。
飛行機に乗って雲の上に出たことがある方はわかると思いますけれど。


<<当機はこれより雲の上にまいります>>


大人なので以前と比べて出来ることも大分ふえました。
いろいろなことを知って視界も開けてきます。
良い眺め。


ふと視界を下に広げる。
地上にはこどもがたくさん居ます。上からの眺めなので小さく見える。
僕も昔はあんなふうだったっけ。。
こどもたちが遊んでいるのは日影です。


気がつくと、雲になっていました。
上を見ると晴れている。
下を見ると影になっている。
横は僕と同じく、雲です。
地上のこどもたちに落ちる影は自分の影なのでした。


まあでも、なんだかんだで晴れの空は捨てがたいのです。
俗物ですから。